魔法少女リリカルなのは The movie 2nd A's
※2節以降ネタバレ
超面白かった!
どうせアニメと大差ないんでしょ?とか考えててすいませんでした。90%くらい再構成されて、超ブラッシュアップされてます。
A's面白いけど映画館で見るほどかな?とかほんとすいません。
食わず嫌いとか小学生の裸あざといとか言ってる場合じゃない。ファンタジー系のエンタメ(意味通じるかな……)では超高レベルに仕上がってると思う。これは見れて良かった。素晴らしい映画化です。
・ジェットコースターのように感情を揺さぶる構造
この作品の最大の特徴は敵方の「納得できる正当性」だと考えています。
今までひたすら道具のように扱われてきたヴォルケンリッターを、矢神はやては家族のように迎え入れます。
そんなはやてが闇の書を完成させまいとするばかりに、かえって自分を傷つけているとしたら、どうでしょう。そりゃ万難を排して助けたくなるというものではないでしょうか。
しかもここが絶妙なところですが、ヴォルケンリッターは騎士ですので、「殺し」に代表される感情的に許せないことは基本的にしません。法的にはアウトですが。
私は倫理的な制約はほとんど絶対的なものですが、法的な制約はさほどのものではないと考えています。どちらかというと、基本的には法律を超えて感情的な(あるいは倫理的な)欲求を満たそうとするんじゃないかと思うくらいです。
これは要するに早く帰りたいから信号を無視するとか、倒れている人を助けるために路上駐車禁止の所で路駐するとか、そんな感じのことで、普段の生活に照らし合わせても頷けることと思います。
話がそれましたが、要するにヴォルケンリッターは思わず応援したくなるくらい感情移入してしまうということです。
一方で主人公であるなのはさんにも、当然感情移入できる正当性があります。闇の書が完成すると主を殺してしまうからです。
それを何とかして伝えたいのですが、被害が出ている管理局の人間からの忠告を信頼できるわけがありません。どちらの立場も分かるだけに、いっそう口惜しい。
お互いが、お互いの信念をかけて力をぶつけ合う。この信念に共感できるときのバトルの熱さは全く違うものになると思います。それが両方の立場で起こるとなれば、そりゃあもう面白いです。
・的を絞った、的確な再構成
A'sの魅力を説明するのに紙幅を食いすぎた……ようやく映画の話をできます。
今回の映画の素晴らしいところは、このもっとも面白いポイントにほとんど焦点を絞って、余分な要素を排除して、欲しい描写を足して、全面に渡り再構成したことです。
大きな要素としては、
①ヴォルケンリッターが召喚された直後の、病院での不審者っぽいドタバタがなくなっている→必要のないコメディパートだから。
②最初からフェイトが転校してくることになっている→フェイト一家や、なのはとの絆が強調されている。リンディが狙われ、それを守るという、なのは達の行動の正当性の補強ができる。フェイトが転校してくることの整合性がカバーできる
③仮面の男が消えている→特徴となっている構造と大して関係ない要素を省略した
④リインフォースの描写及び設定が大幅に増加→最後の消えてしまう描写への積み上げ、闇の書が倒せることに対する明確な根拠を作る
こんなところでしょうか。細かい部分で言えばキリがないのですが、とにかく「本編」と呼べる要素に徹底的に集中することで、完成度を飛躍的に高めることに成功していると思います。
ひとつケチをつけるとすれば、なんではやてが闇の書というゴツイ物体をいつも持ち歩いているのか説明していたっけな?ということ。でしょうか。別に5秒で済むことっぽいのに……
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そんなわけで、興行的にはどうか分かりませんが、作品的には今回の映画化は大成功だと思います。芝居はもちろん、作画は安定してよく動くし、挿入歌2本+エンディングテーマ+主題歌で4本も歌が入っているし、全体的に素晴らしいクオリティ。
なのはというだけで、ある程度のあざとさは確かに覚悟しなければならないわけですが、それを差し引いても手放しで褒めてもいいかなと思いました。全力でオススメします。
もう終わりかけているのが残念すぎる……