放課後ウィンドオーケストラ

このすばらしい作品との出会いに感謝したい。

具体的に言えばid:izuminoさんに本当に感謝です。この作品を取り上げて下さっていて本当にありがとうございます。

実は自分は音楽を趣味でやってる身なのですが、結構自分の無力な音楽の方向性によく迷います…いやその辺の事情は割愛するとして。

端的に言えば、プロで活動しようとするでもないと、上昇志向で頑張って結果を残すことって目的にしづらいんです。特にレベルが低いと←自分(笑)。あ、この目的というのは、具体的な「何をどうする」ということではなくて、それは本来何がしたいからやってるのか、ということです。

や、上昇志向でがんばって結果を出すメリットは分かってるんです。成功体験で自信がつくし、その出来事が思い出にだってなる。他人に認められるにも手っ取り早いと思いますし、それには確かに価値があると思います。というか、自分もそればっかり考える人間です。

けど、どこまで行けばいいのか?というのは結局終わりがあるわけでもなくて、自己満足ですよね。その関係のスキルを使う職業につかない限り、どうせどこまで行ってもその先の人生に直接役に立つわけじゃない。まぁこれって、かなり負け癖思考ですが…。

それに結果が出なければ無価値なのか、というとそれはさすがに短絡的過ぎる。

じゃあ、その場その場でただひたすら楽しむことを目的にすればいいのかというと、そうでもない。そもそもなにをすれば一番楽しいのか?ということになってきますし。

そんなこんなで悩んでいるところに、この話を読みました。

ただ熱いだけじゃなく、単純な上昇志向の話でもない。天才ではなく凡人が主人公だからでしょうか。しかしゆるく「楽」を追求したわけでもない。

そんな中で一つの価値観を築いて見せてくれる。いずみのさんの言う「「結果」を残すことでもなく、「思い出」を残すことでもなく、「感情の色」を残すこと――」

具体的な目標とかじゃないのですが。ただ、そういう価値観で考えることもできるよ、という。

しかし、ここまで衝撃を与えてくる作品に出会ったのは久しぶりだ…『SWAN SONG』以来かもしれない。単純に僕が、受験やらテニスやら勝負の世界にしかいなかったから見えなかっただけなのかもしれませんが。

勝負って勝てば正義じゃないですか。受験はいいとこ受かればいいし、テニスは相手を倒せばいい。けど音楽って勝つ相手が普通いないし、そもそも誰とも勝負しないんですよね…まあコンクールなどはあるでしょうが、明確に得点やタイムで競う訳じゃない。その辺がこれを読むまで分かってなかったのかもしれない。

才能溢れる天才の話って大体面白いのですが、そういうのでは決して語りえない普通人が主人公の物語だったのも共感具合が高まって良かったです。

明らかに自分とシンクロしたからですが、個人的には超傑作でした。まあ、必ずしもこうして自分を鑑みて物語を読むことがいい事であるとは言えませんが…。