葉桜が来た夏5

葉桜もついに完結。面白かった!

ライトノベルにしては珍しく、個人と世界の間に組織がある話です。主人公は軽く特権階級みたいなところにいますが…

この社会やら組織やらがどの程度リアリティをもって書かれているかは分からないですが、いろんな組織同士や内部の対立構造といい、よく書かれているのではないかと思います。

しかしこの主人公・学はそれなりにクレバーな発想ができるのに、亭主関白な挙句にちょい鈍感でもどかしいですね。口下手だし。

さてテーマ的な話ですが、学のたどり着いた結論は非常に真っ当というか理想的なものでしたが、この物語では結局その覚悟を試されませんでしたね。

それにその「世界もお前も、どっちもだっ!」的な答えは、究極的に「どちらかしか選べないとしたら?」という前には通じませんし、その状況は作り出さないぜ!という決意とも取れますが、別にそれは決意でどうにかなるわけでもなし。

まぁそれやるとどんだけ過酷な話になるんだよ状態なので、綺麗に終われてアリだとは思うのですが。

そう考えると、迷いなく「学を守れれば世界なんて!」と言った葉桜は潔いですね。まぁ登場時の高貴な理想に燃える葉桜が好きだった人は幻滅するかもしれませんが。

次回はメディアワークス文庫から出して、もっとその辺突っ込んだ話が出てくるといいな!なんて。

そんなこんなで、設定を入り組ませながらも説明じみたりせず、ライトノベルらしいテンポやスピードを失わずに妙な引き伸ばしもなく無事完結。次作にも期待します。