文学少女見習いの、傷心

このシリーズ、基本的に構成はミステリ仕立てなのですが、大好きなのはその内容が全然ミステリじみていないところでしょうか。

ミステリというだけでもうあまり読まないので、全く大きなことは言えないのですが…や、確かに話は誰がそれをしたか、何でそれをしたか、とかそんな謎を基点に進みます。

で、事件や犯人、その動機が明らかになっていき鮮やかな反転…というあたりはまさにミステリだと思うのですが、話のメインは謎解きではなく愛憎劇(ヒューマンドラマ？)という。

今巻も例に漏れずそうで、まず話として菜乃の成長あり、次いで十望先輩と烏丸さんの怪物の話あり、心葉くんとななせの葛藤あり、という。かなりざっくりまとめてしまいましたが。

ミステリだってそのような要素を多分に含んではいるのでしょうが、比重の問題でこうも印象が変わるんだな、という。そういう比重のミステリ、と思えばいいんでしょうか…。

元々ミステリ好きでないのにこの話は本当大好きだなぁと思ったら、そんな理由だったようです。

読みやすさも尋常でないし、人物描写の巧さは言うまでもないし、ミステリ好きでなくても楽しめるとか本当対応範囲の広い小説ですね。

別に星の数が多いのも単に好きだからと言うだけではなく、このラノ前年1位、今年3位の実力は伊達でなし。

外伝が3部で終わってしまうのが残念です…次で最後かぁ…