もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 岩崎夏海

本屋で偶然見つけ、タイトルと表紙に吹いて即購入。余裕で釣られました。

内容としてはタイトル通りで、マネージャーが『マネジメント』を読み本気でマネジメントしていくお話なのだけど、これが面白い。

こういう試みはもっとされていいと思う…俺みたいな甘ちゃんがとっつきやすいし。キャッチーさが表紙で出ているかは別として、少なくとも特定方向に窓口が広がることに間違いないし。

と思ったらアマゾンで5位とか…笑。いや、いいことだ。

ストーリーやキャラ配置に作為的な面がないではないし、文章なんかも巧いとは言えないと思うけど、むしろドラッカーの内容をここまで分かりやすく噛み砕いて具体例に落とし込んで小説で書くのかと思えば感心してしまう。いやドラッカーなんてかじった事しかないからどれほど的を得ているのか分からないのだけど。

まぁなんだかんだ言ってこの手のサクセスストーリーって燃えるし…なんかチャレンジのチラシについてる漫画に似た空気は感じるけど。

実際にこういうことが起こるかと言われればまず起こらない気もするけど、だからと言って本書の意味が減じたりはしないと思う。

なぜなら、それらの方策が本当に実際うまくいくか?ということよりは、そういう考え方や視点があることを認識するほうがずっと大事だと思うから。

別にこの本のマネージャーだって本に書いてあることを1から10まで真似したというよりは、その内容を考えて反映していっただけなわけで。それにこの本は、「これは確かに変わるかもしれない…!」と思わせる根拠がよく描かれていると感じる。

だから、小説としての出来はともかく、自分にとってドラッカー的な意味で再びモチベーションを高めてくれたこの本には感謝したい。

ドラッカーとか未知だわ、という人にはぜひ。野球部をマネージャーが変える!と言い出したときに、じゃあこいつは野球部の顧客とは誰で、その顧客が望んでいるものはなんなのか考え始めるな…とか思う人にはきっと必要ないけれど笑。