七姫物語

微妙に和風っぽいというかアジアっぽいファンタジー

大国をまとめていた王が死に、後継者がどうなるか揉めたところで、我こそは子孫と立ち上がった7人の姫の物語。

7人が7つの都市でそれぞれ立ち上がり、または祭り上げられ、互いににらみ合いながら覇を目指す…という乱世っぽいお話です。

ちょっと硬くて読みづらいというか入りづらいきらいがありますが、プロローグを乗り切れば俄然面白くなってくると思います。

★は3つ半よりは+αくらい。次とか普通に4つになってるかも。


まず面白いと思ったのは、主人公がピエロ役の姫な点。姫という立場だけなら上から目線だけなんだけど、普段は小間使い見習いとしてあっちこっちに引っ張りまわされたりするので、うまく色んな視点から、主人公と一緒に見れる。

王族とかが身分を隠して町に出て、民と同じ目線で話したりするのと同じ発想だとは思うのですが。これによってこの世界により入りやすくなってるのではと。

後は、この12歳くらいの主人公に視点があることによって、政治とか戦争とかがものすごいダイジェストになってる笑。その辺は自分で関われないから全部伝聞になるけど、読者の目から中身をよく見てみると、よく考えられた背景があるのが分かる。

作者の方的には「トエルとテンの二人の活躍が書きたかった」らしいのだけど、うまいやり方だと思う。

あと、何気に琥珀姫の話はぐっときた。彼女には志はあった…けど実力も、それを補う運もなかった。トエルの「琥珀は弱い子だった…真面目なだけがとりえで、いい人過ぎた。だから担がれて姫にされてしまった」と言う台詞からも分かる通り。

そんな彼女は挫折して南へ流されたけど、彼女を慕う数百人が後を追い、そこが大きく発展していくことになる…という後日談がもう。

ああ彼女のやったことは決して無駄ではなくて、ちゃんと報われたんだな…と思うと。だって、こんないい人が報われないでうち捨てられるなんて、ひどすぎるじゃないか…例え現実はそうだとしても。

いやまぁ、現実でもそういう誠実さには結果はちゃんとついてくるんじゃないかなぁ、とも思うのだけど。

そんなわけで、これはかなり面白かった。次巻以降も期待。