ヴィークルエンド

一度書いた記事が不手際で全損したので、かいつまんで書きます…orz

うえお久光さんの新作で、近未来に子供全員が「共感覚障害」なるものを持って生まれてくるようになった時代、それを抑える「サプリ」の新たな使い方、ヴィークルレースをする少年少女達のお話です。

この小説の面白さは、まず何と言ってもヴィークルレースを中心に、社会やらジェネレーションギャップやら練られた設定の妙があるかと。次いでなかなかいいキャラクター達の仲良し空間的な面白さあり、熱さあり葛藤あり…見せ所の多い小説だったかなと。

あらすじ読んで気になったら外れないと思います。

以下ネタバレ
やっぱり主人公の悩みが結構身につまされるものがあるというか、いいとこ突いてると思います。

この主人公、目的をすえて精力的に活動しながらも、自分には根っこからのモチベーションがない…目的だって所詮後から自分で作ったもの、という所に悩みますが、この解決が実にシンプル。

「どうしようもないってことは、どうもしなくていいってことだ」

と。主人公のモチベーションがないことの悩みは、それ自体別にそうだっていいじゃないか!と丸ごと飲み込む形で現状を肯定するのは痛快でよいと思います。

そうだよなぁ…むしろ自分を突き動かすモチベーションなんて持ってるほうが異常なんであって、ないからなんだ!という逆切れはなかなか正当性があると思う。

ミクニの話は、社会的な価値観に自分の価値観を押し込めてしまったという話かと思う。ミクニは歌い続けていくけど、それが今後も評価を受けるかは分からないし、それで生活していくことが可能かも分からないけど、それでこそロックンロール!という気が。なに言ってんだか…

青春爆走劇ということだったけど、それに相応しい小説だったと思う。面白かった。