星々の夜明け フェンネル大陸真勇伝
フェンネル大陸シリーズが完結してしまいました。もっとこの世界を味わっていたかった…
それにしても、この小説は個人的にはあまりネットで話題にのぼってない気がして不思議。この面白さでなぜ?と思うけど、認知されづらいポジションなのかもしれないので、これは推し。
異世界ファンタジー、特にランドリオールとか十二国記とか好きな人は文句なくいける作品だと思います。
とにかくストーリーが半端なく面白いです…1度読んだだけではなかなか取りきれませんが、幾重にも張られた伏線からのラストはいつも鉄板。
またこのシリーズ、1部が「偽王伝」で2部が「真勇伝」というのですが、その名前の通り小説で一貫したテーマの一つに「真偽」があると思います。
真偽というのは数学的には定義がありそれに従って決まるものなので、判断は条件さえ分かっていれば簡単なものですが、じゃあその定義とは果たして一体何が決めて、何で決めればいいのか…?
そんな所にまで切り込んでいく思想の深さを、ストーリーでがっちり描けてる辺りも尋常でないです。
あと、主人公のスタンスとかすごい好きだったり。
選択肢が2つしかなかったとして、どちらも犠牲を強いるようなものだったとしたら、「私は、そんなの納得できない!」とばかりに第3の選択肢を目指してあがくひたむきさとか。別にそれがいつも上手くいくわけではないんですが、その姿勢によって確かに何かが変わっていくのはやはり痛快。
まぁそんな紹介じゃ何がなにやらですが、趣味が似てるなと思う人は、この完結を機にぜひ。
今巻の中身は、正直前巻の内容も含めてだいぶ忘れていることが多いので、できれば偽王伝からもう一回読み返して書きたいものです…。