文学少女見習いの、卒業


外伝3部作の完結編。

冬に短編集4が出るようですが、長編はこれで終わりかと思うとなんとも切ない。

続けようと思えば続けられ…ないか。ワトソン君が上級生になっちゃうぜ…いやそれはそれであり?

なんにせよ、完結を喜ぶと同時にまた一つ楽しみが減ってしまったことを残念に思う。いや、無理に引き伸ばしたりしないで、外伝も本編もきちんと完結させたのはえらいと思うのだけど。

微妙に以下ネタバレ(既刊全ての)

基本的には心葉くんのテーマの焼き直し的なところはあるんだけど、より救いようはないな…

逆に言えば、清算…は元々できないにしても、本人の許しすら得ることができない→心葉くんより過酷な状況に置かれた二人(加えて、この二人は意図的に櫂を陥れた)だからこそ、よりそのテーマが浮き彫りになっているとも言えそうですが。

心葉くんのテーマというのは、このシリーズ自体の基調奏音とも言えそうですが、「とりかえしのつかない罪(闇)=どんなに苦しいことを抱えても前に進み続けよう(続けるべき)」という奴です。

それは「歩き続けていれば、いつかきっと満天の星空にたどり着けるから」で、本当の幸いという話にも関連してきたことだと思います。

満天の星空にたどり着けるかは別として、この非常に強力で前向きながら言うだけだと上滑りするメッセージが、物語全体でしっかり語れているあたり、傑作にふさわしいと思う。

それだけでも十分すごいことだけど、加えて、ミステリ?性を加味したテイストやコミカルさでの緩急、青春劇やらのエンターテイメント性で話自体も抜群に面白いとか、もうどんだけ。脱帽の偉業だと思います。

やっぱり、テーマうんぬんというのは別にさして珍しいことではないのかもしれないけど、これだけ面白くて、読みやすくて、分かりやすくて…という部分は傑作の決め手ではないかと思う。

再読したいなぁ…このテーマのこととかを念頭においてもう一度最初から読み直せば、違う所が色々と見えてくる気がする。

なにはなくとも、元気をくれたこのシリーズに感謝。