おおかみこどもの雨と雪 頑張るお母さんって格好いいよね
- 作者: 細田守
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: 文庫
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※2節目以降ネタバレ
・子育て奮闘記
おおかみおとこの子供=おおかみこどもが生まれてきたら、どうしますか。
しょっちゅうおおかみになったり人間にもどったりするから、人目を避けねばなりません。当然出歩くのに制限もかかりますし、医者にもかかれません。
そんなこんなで、お母さんが奮闘しながら頑張って子育てしていく話……だと思ったのですが、どうなんでしょう。この手の話はうまく視点が得られないので、なんとなく楽しんでしまうことが多いです。
少なくとも『サマーウォーズ』のように分かりやすく盛り上がるのではなく、しみじみとした面白さを持った映画ではあると思います。
どんなというと、成長を守る理想の母親に移入して楽しむエンターテイメントとでもいいましょうか。
分かりにくい言い草ですね……まあ、ハートフルな話が見たければぜひ。
・希薄になったご近所の付き合いをもう一度
そこまでテーマ性を強く押し出した作品ではないと思いますが、根底にあると感じたのは「どのような社会がより良いか?」という問いです。
前半の、コンクリートの街では、雨と雪を存分に遊ばせることもできず、それどころか死んでしまった父親はゴミのように機械的に処理されるし、医者にかかれなければ、ネグレクトと勘違いされて公務員の人たちが押し入ろうとしてくる。彼らの行動のなんと無粋なことか。
ただ勘違いしてはいけないのは、彼らの行動はこの社会では全く妥当な行動だと言うことです。狼の死体があれば、速やかに撤去しなければ住民からひどい苦情が来るでしょうし、まさかそれと関わりのある人間がいるとも思わないでしょう。公務員の人たちも、実際に数え切れないくらいのネグレクトに対処してきた結果でしょうし。
だから、ここで問題にされているのは、社会のあり方、構造そのものであるという点です。
そこで後半では、ではどんな社会ならいいの?ということを提案していきます。
一口では言いづらいのですが、アナログ的というか、古きよきご近所付き合いというか。そういう「コミュニティ」の復権を訴えているように思います。
私は比較的都会のマンション暮らしですが、隣の人も知らなけりゃ上も下も顔見たって分からないほどですからね。言いたいことはなんとなく伝わります。
国のシステムによる救済ではなく、横のゆるいコミュニティのつながりによる支えあい。知恵の交換であったり、取れた野菜を分け合ったり、困ったときは助け合ったり。何となくその辺に住んでいる人はみんな顔見知りのような。
多分これはサマーウォーズから引き継いでいるテーマで、人と人のつながりをもう一度考えましょうと。
ネットだと、いいか悪いかは別として、目的のコミュニティにしか所属しませんものね。この辺はやっぱりハイブリッドが望ましいのでしょうけど。ネット偏重に異議ありと言うところでしょうか。
まあ、全部私の勝手な妄想ですが……
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映画の一面だけ切り取ってだらだら書きましたが、別に全体通して面白かったと思います。
こんなこと考えなくても、お母さんが奮闘しているのを見ているだけで楽しいです。オススメ。