月だけが、私のしていることを見おろしていた。 徹底的なご都合主義が潔い

・アラサー独身女性の悲哀(笑

同期は次々と籍を入れ、親からもせっつかれ、職場でも陰口をたたかれる(?)。

そんなアラサー独身女性が主人公という一風変わったラノベです。

これがまたある意味典型的な少女マンガのように分かりやすい。仕事のできるキャリアウーマンで、助けてくれる賢者がいて、面倒見のいい後輩がいる。魅力的な男性に迫られもする。その上結末は……まあいいでしょう。

なんという凄まじい欲望充足型のエンターテイメント。無双モノくらい極端です。

色んな意味でリアリティを手放していますが、ディテールのきいた描写(出だしは明らかにやりすぎで、読むのをやめたくなるが……)と、地に足の着いた微妙な現実感覚で反感を覚えるほどではないと思います。

ここまで女性らしい話も珍しいので、興味のある方はぜひ。


・ドラマチックさとリアリティはトレードオフ

先に述べたとおり、人物配置というかキャラ設定が既に狙い済ましたものであることは述べましたが、それに輪をかけるような形で展開が何ともドラマチックです。

確かに伏線がつながっていくカタルシスはあるのですが、さすがにそこまで薄いつながりが一本の線になると、線の方が目立つというか。

ここは按配としては結構難しそうです。薄いとドラマチックさはあるけど現実感が薄れ、濃いと納得感はあるけど、当然の帰結のように感じると思います。

そもそもこの話の場合、別にそこにどんでん返しはいらないんじゃないかという気もします。話の本筋とあんまり関係ないし……

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どれかというとハーレクインとか、そっちを読んでれば比較できるのかもしれませんが、当然読んでないので。むしろラノベのレーベルから出ているという点が新鮮に感じました。コバルトとかとも、多分違う空気なんですよね……

どんどん多様性を持って広がっていけばいいと、この小説を読んで思いました。