俺の妹がこんなに可愛いわけがない11 先の見えない緊張感

・広がり深まる世界観

妹から「人生相談」を受けて奔走するという序盤から考えれば、ずいぶん遠くにきた感がある11巻です。

最初は家族愛というか、まあ実際の家族ってそんなだよねというノリを中心に出していたはず。それが四天王の取り合いに発展するだと…?

ついでにキャラも比較的テンプレに乗ったシンプルさだったのに、どんどん掘り下げられて独自性を獲得していくし。真奈美とか、黒猫とか、もう誰だよ?と。

後半に入ってから、割となにをいっているのか分からない(なぜそんなことをいっているのか分からない)という部分が増えたのですが、それでも面白いと思うから不思議なものです。まあ条件として設定されてしまえば、ある程度不可解でもなんとかなるんでしょうか。

今巻では京介と桐乃がどうして仲が悪くなったのか?という過去話がメイン。さらにキャラが掘り下げられてよいのですが、いよいよどこに進むのか検討もつかなくなりました。なんとなく終わりを決めないで進んできた話特有の香りがします。

なにはともあれ最終巻に期待。


・真奈美はガチ

5巻くらいで一度、人気投票でルート決めするという話があったかと思います。そのときに選択肢にすら入らなかった地味子がどうしてこうなった。

大躍進じゃないですか。なにこのラスボス臭。黒猫や桐乃に勝るとも劣らないレベルです。

真奈美の主張はとても理にかなっているように見えます。京介が「幸せ」になるためには、確かに桐乃とは社会一般で言われているところの「健全な」関係にもどる必要があります。社会一般の理念にかなっていないものを幸せと呼ぶのは思考停止しないと難しいですから、非常に真摯に取り組んでいると言えるのではないでしょうか。

まあ元々この兄妹意味分からない所があるので、一概にどうとは言えません。割と後半は何をいっているのか分からない部分も多々あるので……。


・2転3転するパワーバランス

結局誰がトップランナーとしてゴールするのか、現状では見当もつきません。

一番無難なのは黒猫かなあ。真奈美の提案とも合致しますし、一度付き合った仲ですから。

逆に大穴としては桐乃でしょうか。納得させるように着地するのは非常に大変だと思います……近親相姦のタブーはハンパなく堅いので。あやせは人気があっても出番的に難しいような。

今回の話で、京介を救っているのは、実は真奈美じゃないか?となったあたり、むしろなぜ真奈美ルートに入らないのか不思議なくらいですが、よく分かりません。

もう、誰の何に惹かれてどうなっているんだか。

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繰り返しですが、最終巻を読まないことには何ともいいがたいですし、過去の巻も読み返す必要がありそうです。<評価>
コメディ★★★★
親愛★★★☆
無双系★★★
ハーレム(能動)★★★★