魔法の材料ございます ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚 ヒロインをあえて面倒なキャラに

・品よくまとまったファンタジー

ほぼタイトル通りのシンプルなストーリー。

適度に力押しにならないバトルや、伏線の回収、軽快に飛び交う会話など、押さえる点は押さえているが、大筋で言えば本当に苦労して魔法材料を取ってくるだけである。

しかし魔法材料収集というミクロな話に終始しているにも関わらず、英雄譚の解釈や、マクロの設定などが地味に光っている不思議な話でもある。結果としてこれらの背景がキャラに動機を与えることで、厚みを得ているように感じたので、あるに越したことはない。

ヒロインがかわいいタイプのわがままというより幼さによる自己中心さを持っているタイプで、少しクセがある。主人公がきわめて常識的で、一応突っ込んでくれるため、計算して描かれているのは分かるが……

まあ私はこういうタイプの人間をどうしてもマトモに見れないので(きっと同属嫌悪だろう)、差し引いて見て欲しい。別にそういうキャラが登場する分には全く構わないのだが、味方として描かれると清々しくぶちのめされてくれないのでイライラするのだ。

それも含めてよくまとまったファンタジーと表現した。ただし今巻にそれ以上を求めるのは難しいと思う。今後マクロの動きがありそうな展開だったので、その辺が大きくストーリーに絡んでくれば期待できるかもしれない。<評価>
無双系★★☆
ビルドゥングス・ロマン★★☆