パララバ

遠野綾は高校二年生。平凡な日々を送る彼女の一番の幸せは、部活を通して知り合った他校の男子生徒、村瀬一哉と毎日電話で話すことだった。何度も電話をするうちに、互いを友人以上の存在として意識し始めた二人だったが、夏休みの終わりに一哉は事故死してしまう。本来であれば、二人の物語はそれで終わったはずだった。
 しかし一哉の通夜の晩、綾のもとに一本の電話がかかる。電話の主は死んだはずの一哉。そして戸惑う彼女にその声は告げた。死んだのはお前の方ではないのかと……。
 二人が行き着く真実とは!? 出会えぬ二人の運命は!?
 携帯電話が繋ぐパラレル・ラブストーリー。切なさともどかしさが堪らない、第15回電撃小説大賞<金賞>受賞作。

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今更ながら。

ラブストーリー基本のミステリ路線。恋人が、そして自分が死んだ理由は…?

パラレルワールドが電話でつながると言うと某クオリアみたいですが、こちらは単に電話できるだけ。そもそもこの事件はなんなのか。それにこの平行世界は、分岐点がどこで、なぜつながったのかなどそれなりに謎がちりばめられていて良い。

平行世界というものを取り入れたことで、落とし所がどこなのか読みづらくなっているのもあり。まぁ結果的にはごく真正面に着地するわけですが…というかこれは全く怪しむような流れがなかったので、自分で勝手に嵌っていただけの模様。

ただ、始まった瞬間から既に村瀬一哉が死んでいて、そいつの実感がなくこの男に対する気持ちは同調できないので、その辺の主人公の心の動きがちょっと煩わしかったかなと。

というか、この題材今考えたら俺よく買ったなぁ…恋愛中心でミステリって、好きな要素が一つもないので。

しかしながら、そんな人間でもそれなりに楽しめる辺り、本作はあらすじ読んで興味が出たらそれなりに楽しめるのではないでしょうか。アクセル・ワールドと同時にデビューでなければもう少し評価されたのかなぁ。