有川夕菜の抵抗値


「私は貴様らのような連中が大嫌いだ」
  挨拶の第一声から級友たちをドンびかせた転校生・夕菜には、人には言えない秘密があった。彼女は感情が高ぶると身体から電気を発してしまう特殊体質だったのだ。
 その体質故、過去に大切な人をケガさせていた彼女は、誰も自分に近づかぬよう虚勢を張り続ける。だが、なぜかこの高校には夕菜にちょっかいを出してくる変人ばかり。特に生徒会長の末長は、しつこく夕菜に言い寄るが……。
 孤独な転校生の少女とちょっと壊れた高校生たちが織りなす、笑って泣けて元気が出る癒しのストーリーを、ドタバタ風味でお届けします!

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結構まじめな話で、後半の下りはよく盛り上げられていると思います。

人物の人格もそれなりに筋が通った作られ方(中身はともかく)なので、そこはあまり違和感なく。

しかし多分この小説の間違えたところは、ドタバタ風味ではあってもコメディではないと言うところが先入観で分からないところでしょうか。いや僕だけなのか…?

あらすじに「ドンびかせた」「壊れた」「ドタバタ」とかいうワードがいかんともしがたい。

あとは生徒会長の言動が良くない。シリアスなリアリティを出したいならこういう漫画的な演出は抑えるべきかと。

要するにキャラクター配置と話がうまくかみ合ってないので、リアリティのないバカ話としてノリで笑うには重い話で、シリアスに考えていくにはリアリティが足りないという。別にリアリティというのは現実に沿ってるかと言うわけではなく、その世界をいかにホンモノと感じられるか、と言う意味で。まぁそういう使い方しかしませんが…。

もう一つ言えるのは、「トラウマ」という言葉はそう簡単に使わない方がいいんじゃないかな、という事。ギャグならギャグで流せるけど、元々トラウマってかなり深刻なものなので、安易に使うと分かってないなぁ…と言う印象が。

この話で起こっていることが深刻でないと言うわけではなく、受けたダメージがトラウマには相当しないと言う意味です。

そんなわけで、いまいち何がしたいのか良く分からないまま終わりました。話的にはいい話なのだけど。