烙印の紋章5 そして竜は荒野に降り立つ 長尺な物語のプロローグ
読了。
杉原智則が贈る硬派なファンタジーも無事に5巻まで来れて嬉しい限り。缶詰の順番から言ってそれなりに人気もあるのかな…?いいことだ。
いずれメフィウスの竜王と呼ばれる(らしい)オルバの活躍を描く英雄譚だけれども、すばらしい…正直キャラとかは少し地味かなと思うこともあるけど、ラノベの割にがっしりとしたこういう作品も貴重だと思う。
地味と言うのも少し違うか…堅実なだけにそうならざるを得ないと言うか。
その代わり元々動機の書き方も丁寧なので、長編になればなるほどキャラに味が出てくるのではと。(強調を覚えたので使ってみる)
前から少しずつ見えていた世界も話もどんどん広がっていて、これから先が楽しみ。
今作は何と言ってもマリレーヌ!マリレーヌ回と言っても過言ではないほど(それは嘘)。
今巻で去ってしまうのが惜しいかと言われれば、そこまでキャラ自体は立ってなかったと思うので微妙だけれども笑、全体通して高まっていったポテンシャルで生き残ったな…というか。
だってこの人死んでもおかしくない立ち位置というか、同じことをやっただけとぱっと書かれるだけなら多分、死んだ方が綺麗にまとまると思う(ぇ
だけれども、その行動をこの巻通して追っていけば…この人死んだら絶対残念だと思うんです。
確かにクレバーな人ではなかったと思います。やり方もそれが最善ではない…というか、この状況を招いた時点で王族としては失格とも言える(見る立場なので偉そう)。グレイガンを雇ってしまう辺りもまずかった。
けれど実際問題どこかで何か手が打てるのかと言うとそんなことはなくて。読んでる人は悪くなる一方の状況にそれでも食い下がり、何とか使命を全うしようとするその姿勢をずっと見てきた。
これで死んだら嘘だろ!と思わず力が。
この生き残った納得感はさすがだと思います。
あとは相変わらずオルバの活躍。
まぁ前半の無気力オルバには歯がゆい思いをしましたが、それだって考えてみれば仕方ないとも言える。
だってオーバリーに復讐しちゃったんだもんな…と。
今までだって王族について散々考えてきた部分もあったはずだけど、それでもやはりその動機もなければ容易に人の考えが変わるとは思えない。
そんな、復讐と言う動機をなくしたオルバが王のいないタウーリアの現状を肌で感じて、ようやく気づきが芽生える…まぁ、その前に目先のことに動機を取り戻すのが単純に怒りから、と言う辺りがまた面白いというかそうかもなと思わせてくれる。
今巻はしかし指摘を受けて気づいたのですが、全巻までと比べると内容としては若干小粒な感はあるかなと思います。
内容が小粒と言うか、山が小山と言うか。前回までと比べると戦いが割とあっさり終わった印象…?
まぁ、オルバがもう歴戦の強者の風格が出てるので、「どうするんだ!?」という逆境感がこの位だと薄いのか。実際、今巻では策と言うよりは、情勢の読みだけでもう十分戦えてしまうほど。
状況としてはこれからゲルダ勢が本領を発揮して色々面白いことになっていくと思うので、存分に期待して次を待ちます。面白かった。