ヴァンダル画廊街の奇跡 美奈川護 世界設定に難ありといえないご時勢
過去の名画を題材にした小説。
「プロパガンダ撤廃令」であらゆる芸術がかなり広い条件で規制・弾圧されるようになった世界観が特徴。そんな馬鹿なといえないところが何とも…。
そんな世界で、過去の禁止された名画を各地の壁に書いて、「芸術に自由を!」というサインを残すテロ組織「ヴァンダル」の活躍を書いた話。
絵のすばらしさを小説で伝えようという意気込みが存分に表された作品で、挿絵には一切題材になった絵が出てこず、想像で勝負してるのは潔い。
絵好きなんだろうなという。短編連作形式で、毎回題材になった絵があるのですが、その絵が映えるようなシチュエーションの作り方は巧みか。
ただ、自分びっくりするくらい絵に関しては色々と残念なので、その辺が評価に影響していて多少問題かもしれない。
とはいえ、一番の難点はやはり世界観か…それは枝葉とはいえ、流石に突っ込みどころが多い気がする。
世界戦争の背景や、統一された政府などがなんでそうなったのかよく分からないし、科学の発展も光速輸送ポッドとか?という。
ちょっと内容が散漫になってしまったかも…この内容で一冊は無理ゲー。
設定次第では次作にも期待。