死なない男に恋した少女

不死の男と、快楽殺人者のヒロインが繰り広げる…なんだろう、ラブコメなのか、なんなのか。とりあえず会話が結構面白かったので、読みやすい本ではあるかと。

主人公がめった刺しにされたり、突然刃物を突き立てられたり、許可を取って遠慮なく刺されまくったり、とりあえずラブコメにはあるまじきバイオレンスさです。

なにはなくとも読んでみましたが、なんとも言いがたい…面白いとは思うのだけど。とりあえずヒロインが連続殺人犯だったりするので、倫理的にアウトという人はいると思います。あくまで物語ですが、殺人に対してナイーブな人もそりゃアウトですよね。

その辺フォローありますが、というかそのフォローが作品の中身ではありますが、そんなの言い訳だ!と頭ごなしに言ってしまえないこともないので、そういう人は…そもそも手に取らないと思いますが、やめておくが吉でしょうか。あえて手にとって見るのも面白いかもしれませんが。

以下ネタバレ
ヒロインの言い分だと、「今警察に捕まっても、年齢で死刑にならないかもしれない。更正されて釈放されてもまた殺人を繰り返すだろうから捕まるわけにはいかない」ということで、一見理にかなっているように見えなくもないです。

が、なぜそんなのいい訳だと言えると思うかというと、見もフタもないことを言うと、じゃあ死ねばいいという話にできなくはないからです。

それに、やはり動物という妥協点があったにも関わらず、飛び越えて人を殺したことはいかんともしがたい。

そんなヒロインが、殺しても死なない主人公に会ったからって…普通の幸せな人生を送っていいのか?否、と。

ただ、このヒロインは結構自覚的で、けじめだなんだといっても自己満足であることも、弱いことも分かっていて。そんなだけど生きたいんだ!という意志には文句も特に言えませんし。

まぁそんなヒロインがやっと、殺さないですむ挙句に人を刺せるという安息の、理想の日々を手に入れたかと思いきや、妙な組織に脅されて、その殺人能力を買われて望まぬ殺人を強要されるというのは読む側としてはまぁ納得のしっぺ返しというか妥協点かなぁと。いやデッドエンドのほうが話としてはより納得だし綺麗だとは思いますが。

完全よい子ちゃんのりんといい、話としてはうまい構成してるよなぁと思います。

続きは…縁があれば。