花守の竜の叙事詩2

前回のあらすじ書き逃げ状態だったので、2巻まで読んで思ったことをつらつらと。

相変わらず面白かったのですが、気になることがあったので、ちょっと書いていきたいと思います。

唐突ですが、この作者さんの話は、悲劇が大体過去のものであるように思います。

過去のことである、ということは小説の中でも体験しないことなわけで、さらに伝聞形です。

これは小説としては、苦しい部分がなくて、−→+の話がメインになるので、読者的には読みやすかろうと思います。苦しさを取り除いて、後に残る苦さだけというか。

しかし反面、それが小説の中で描かれないことで、その悲劇の犠牲者に公正な目が向けられにくいように感じました。個人的に読んでいて思っただけなんですが。

というかあれです、キャンディッドまじウザくね?と思ったからなんですが。

語り部が主人公側と言うこともあるのでしょうが、悲劇が過去に置かれるとどうも視点がちょっと勧善懲悪側に偏りがちな気がします。昔に悲劇があったって、悪は悪だろ!という。

その辺読者の想像力の見せ所と言う気もしますが…。逆に言うと、一面から物事を捉えるとこうなるよ!という例として見れるかもしれません。

というか、歌姫はまだしも、キャンディッドもそうそう責めれたもんじゃないなこれ、と思うようになって。見え方が変わったかのよう。

まぁ読者の視点の偏りについてなので、まず「悲劇が過去話になると、その悲劇の被害者が悪役になって現在にいるとき、心理的に勧善懲悪側(主人公サイド)に偏りやすい」という意見が賛成を得られないと全くなにを言っているのやら、ということになりますが。

この話を読んで考えたのはそんな感じのことでした。なぜこうなった、と思わないでもないですが。

まぁむしろ、いかに普段無意識に偏った読み方をしているか思い知った点の方が収穫だったかもしれませんが。気をつけよう。