飛べない蝶と空の鯱
- 作者: 手島史詞,鵜飼沙樹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/05/18
- メディア: 文庫
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・バディもののハイ・ファンタジー
一言でどんな話とは説明しづらいのですが、とりあえずこう括っておけば間違いはないかなと……
主人公のウィル=「渡り鳥」は命をかけて依頼主の想いを届ける、とかいうとそれっぽいでしょうか。
会話のちぐはぐさやキャラの安定感のなさ、描写の不足などに不安を覚えることはないではないですが、深まる謎や次から次へと遅い来る困難な展開で一気に読ませるタイプです。
不思議な世界観で読者を引き込んでくれていると思います。
・速さは正義
見所の一つ目として、手に汗握る空戦シーンがあります。
やっぱり速く、自在に飛ぶと言うのは、空間を支配すると言う意味で、原始的な、どこまででも空間を支配したいと言う欲求を満たしますから。ここは熱いです。
・枯れた人間を描くと言うこと
作中でかなりの重要人物の一人にバードと言う人がいますが、何となく直裁的過ぎると言うか、生きてきた年月として諦観とかが混じっていてもいいのかなあと思いますが、かなり若い台詞も散見されて、やはり円熟した、ある種枯れたキャラを描くと言うのは難しいんだろうなと思いました。
ポールマンの存在は許されるのか?
もう一人の重要人物、ポールマンという人物ですが、私は彼のエンドに違和感を覚えました。
傀儡の術で死人を操ったり、ジェシカをかなり取り返しのつかない形で傷つけたりするのですが、改心したこともあって比較的簡単に許されています。エンディングなんかかなり放置です。
ただ、個人的には彼がしたことに対して責めを負わないのは、彼の倫理観的にも沿うものなのか?と思わないでもないです。何人もぶち殺そうとしたし、下手したら島一つ沈めていたのに、何だかどうでもいい扱いだなぁ…という印象です。
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総合すると、バディモノの信頼や、空戦のシーンとしては心躍るのですが、伏線の回収の段や悪役の処理を見ると、それはどうなんだ?と思う点が割とあります。
エンド的にはハッピーで、腑に落ちるモノでもありますので、世界観やあらすじに興味を惹かれた人は読んで損はないと思います。