ブラック・ブレット 細かい描写についていけないだけでノれない

※ネタバレ

バイオハザード

ウィルス性の寄生生物「ガストレア」との戦いに敗北した近未来。人類は狭い国土に追いやられ、恐怖と隣り合わせのなか、絶望と共に生きていた。

という本書のあらすじの書き出しを見てわかるとおり、割と過酷な世界のファンタジーです。

設定が複雑なので詳しい説明は省きますが、バトルあり、必殺技あり、陰謀あり、友情愛情ありの、友人の言葉を使わせてもらうなら「完全に少年漫画のノリ」でしょうか。

表現が過剰な描写が多いので、その辺が合わない可能性はありますが、だいたいは熱い展開です。

私はちょっと合わなかったのですが、具体的にどこが合わなかったのか?がうまく説明できなくて困っています。些細な違和感の積み重ねと言えばそうなのかもしれませんが。

ガストレア退治したけど、その場で報酬をもらい忘れたらもうもらえない?無法国家か?とか。そこで杖はとりおとさねーだろ、とか、そこで足が震えるのは良く分からん、とか。


・話としてはミクロに終始している

基本的に事件の背景や、登場人物の動機はほとんど感情に起因するものなので、分かりやすい展開にはなっていると思います。

また一般人の主人公を持ってきて、個人対個人のバトルに終始することで、ほとんどマクロを消失しています。

別にそれが悪いわけではないと思うんです。

ただ国を支える人間がただ感情で滅亡させようとするっていう辺りも、ありえないとは言いませんが、そんなに見たいものでもないというか。

バトルも力押しで、良くも悪くも気合ゲーですが、それが悪いわけでもない。しかしペアで戦っている意味とか別にないよね……とか。



愚痴ばっか言っても仕方ないので良いと思ったところを言うと、夏世の話はとても良かったです。戦い向きじゃないイニシエーターがどうやってそんな強敵をたくさん食い止めたんだと思わなくもないですが、理屈抜きで感動させられました。このラスト前のシーンを読んだだけで、最後まで読んでよかった…と思いました。

あと腕輪ですね。この伏線には一本とられました。

多分続きは読みません……


※追記

改めて面白さのフレームワーク(成長とエンターテイメントの2軸)に当てはめてみると、

主人公の成長…あんまりない
エンターテイメント…上記の理由により感情が乗らない(私の思っている人間と違う)=欲望の充足が起こらない

で、まあそりゃあ面白く感じないわけだな、と思いました。

エンターテイメントに関して言えば、主人公が分かりやすく強いわけでもない(実は強いけど、強敵には負ける程度)し、特別クレバーでもない、これと言って大人な包容力を持っているわけでもないので、ドンパチやっていてもイマイチ乗り切れないような。主人公がなんか努力を積んで強くなったとか、そういうバトルに対する文脈が欠けているように感じるからかもしれません。

あとは多分敵役の言ってることが分かりやすすぎるとか、依頼を受けてこなすという形式が主人公の動機を削いでいるとかはあるかもしれません。共感する動機がないとどうも乗れないので……