テルミー2 あざとい、実にあざとい
- 作者: 滝川廉治,七草
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/07/22
- メディア: 文庫
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※ネタバレ
・あざとさをどう捉えるべきか
悲しみとやさしさが奏でる物語、というキャッチフレーズのシリーズ第二巻です。
1巻冒頭において26人のクラスメイトのうち、24人がバスの事故で死んでしまい、生き残った二人が、片方の鬼塚輝美に乗り移った魂の残滓を成仏させるべく奮闘する。
実にあざとい設定だと思います。確かに面白いのですが、素直に面白いと言いたくない反発も感じます。
死を扱う物語はデリケートですね……。
・死後に望みが果たされることの意味
人は死んだらそこでお終いです。どれだけ未練があろうと、そんなことは関係ありません。
それが分かっているだけに、基本的には人は死を恐れます。
しかし、死後の望みが叶えられるというのはどうでしょう。もし未練のあるまま死んだら……と考えると、実に魅力的な提案ではないでしょうか。欲望の充足=エンターテイメントを感じることと思います。
ただしあまりに鉄板すぎて、逆にもう飽きているマンネリの懸念に加え、構造上絶対に悲劇が必要なわけで、マイナス100をプラスちょいにすることに対する反発も考えられます。
セカチューまで行くと露骨過ぎて苦笑しますが、何となく人が死ぬ話って強制的に感動させられている感じがして嫌なことってありませんか?
この死を扱う話において問題なのは、エンターテイメントとしての構造が固定されるだけでなく、ビルドゥングスロマンとしての構造もかなり狭まる点にあると思います。
・人の死を乗り越える様は物語にすると類型化される
当てはまらないものも数多くあるのは承知で言いますが、死ぬまでに相当の積み重ねがない限り、死を乗り越えるプロセスというのはかなり類型化されているように感じます。
別に類型化されていようと、現実に死を乗り越えるのは果てしなく困難でしょうが、こと物語に限って言えば、ビルドゥングスロマンとしては独自性を主張しづらい領域だと思います。
ゆえにこの形式に則ると、一定以上の面白さにするのは難しいのではないか、と今回思いました。
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なんだかんだ決してつまらないわけではなく、面白いのですが……悲劇というのは様々傑作があるだけに、どうしてもハードルが上がるのかなと。
あと作者の人はあとがきでドヤ顔するのやめた方がいいと思います……余計なお世話でしょうけど。