ドラフィル!〈2〉竜ケ坂商店街オーケストラの革命 それは音楽だけでもなくて

・引き続き、音楽とそれを愛する人々の物語

前作の紹介でも使ったが、「竜ヶ坂商店街フィルハーモニー。通称『ドラフィル』を舞台に巻き起こる、音楽とそれを愛する人々の物語。」相変わらず安心してお勧めできる一冊だった。

本シリーズについて言いたいことは、

ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄

でだいたい言っていたので、新たに気づいたことを少し付け加えることにする。

あと正確な情報ではないが、本書で完結とも取れる(元々1巻完結でもおかしくなかった)ので、長編シリーズに倦んでいる人には勧めやすいかもしれない。続いたら申し訳ない。


・音楽とは選ばれた存在にのみ許されるのか

本書においては不思議なことが起きている。

音楽とは才能によってしか、絶対的に超えることのできない壁があると言う。しかしその一方で、音楽による、言わば恩恵はみんなが受け取っているのだ。

これは前者は音楽、特にクラシックにおけるトップの話であるのに対し、後者は音楽自体が持つ性質によるからだが、この二つが違和感なく同居している点が面白い。

別にこれは音楽に限った話ではないが、「他人にとって価値がある」ことと「自分にとって価値がある」ことの差をよく表しているように思えた。結果が目的であるか、過程が目的であるかと言い換えてもいい。

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あまり付け加えられなかったが、引き続き良作であったと思う。<評価>
日常系★★★
狂言回し★★★
親愛★★★
無双系★★★☆
ビルドゥングス・ロマン★★★
テーマ★★★☆