GOTHICMADE ゴティックメード すごいとは思う

・なんかもう背景だけで

ファイブスター物語』は、私の世代ではさほど有名には感じないが、上の世代(の一部)からは絶大な支持があるらしい。その作者の永野護といえば、恐らく大御所と言っても過言ではない。

その人が今回、なぜか「映画を作ろう!」と言い出し、六年かけて作ったのが本作なのだそうだ。ファイブスター物語を完結させろよという向きもありそうだが、むしろそのチャレンジ精神を讃えるべきだという意見に賛成したい。

本作は映画としては問題があると思うが、ストーリーとしてはかなり楽しめた。奇をてらうことなく王道な内容で、王道らしく力強い話である。

まあファイブスター物語を知っている人はそうでない人よりずっと楽しめるらしいので、知らない私はずいぶん損をしたかもしれないが、いいことにしよう。


・ロボットがピックアップされているが、活躍はしない

本作は不思議な仕上がりになっている。ロボットが宣伝としても、話の内容としても大きく取り上げられるにも関わらず、ほとんどそのロボットが活躍するシーンがないのだ。

圧倒的な強さを演出するため、一瞬で敵との戦いにケリがつくという流れにしたのかもしれないが、例えば『コードギアス』などのようにロボットがガンガン動いて映像として楽しめるようなものを想像していくと、肩透かしを食らうかもしれない。

話のメインはあくまで主人公のベリンとトリハロンの交流と、その成長である。この過程はしっかりと積み上げて描かれているので、そういうものだと思えれば、ストーリーとしては面白い。

画面としてはあまり動かないが、話の上で全く触れられないようなディテールが描かれているため、戦いのシーン以外では画面として物足りないということもない。

しかし、より不思議なのは、映画の背後に圧倒的な規模の設定が積み上げられているようなのに、話の内容としてはほとんどプロローグで終わり、いきなりエンドロールでエピローグに一足飛びすることだ。

もしかしたら別の物語、それこそ『ファイブスター物語』に回収されているのかもしれない。

話の内容とこれらの設定はもはやミスマッチといっても過言ではないと思うが、かといって浮いている印象もないのはさすがなのかもしれない。

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壮大な内輪ネタという気もしないではないですが、外にいる身分で見ても一応楽しめるようにはなっていました。オススメできるかと言われると、さすがにそこまでオススメはできません……<評価>
親愛★★★☆
無双系★★★
ビルドゥングス・ロマン★★★
セカイ系★★★