「キャラ立ち小説」?そんなジャンル分けで売り込めるならぜひやってくれ
・キャラ立ち小説?なにそれ?
ラノベとも違う! 今人気の“キャラ立ち小説”とは?
――ニコニコニュース
軽く記事の内容に触れておくと、最近一般文芸にラノベのようなキャラクター性を持ち込んだ「キャラ立ち小説」が人気ですよ、といった事を述べています。
私はこれを偶然目にしたとき、このジャンル分けに何の意味があるのかさっぱり分かりませんでした。「この人は人間のなかでも、すね毛が薄い人間ですよ」とか言ってるのと同じくらい、曖昧で広すぎるジャンル分けに見えたからです。
しかしよく考えると意外とアリかもしれないと思えてきたので、その辺について書いていきたいと思います。
・ジャンル分けの意味
ジャンル分けにどんな意味があるかというと、私は「手に取るときのガイドライン」だと思っています。
例えば「ラブコメ」というジャンル分けによって、その作品にある程度当たりをつけることができます。ファンタジーとか、あるいは学園ものとか、ラベルを貼って分かりやすくしておくわけです。
極端なことを言ってしまうと、「傑作」というのもひとつのジャンル分けみたいなもので、ほかのジャンルわけと併用して「そのカテゴリにおいて極めて完成度の高い作品」というラベルを貼ることができるわけです。
このジャンルわけによって、把握することが困難なほどたくさんある本の中から、自分に合いそうな作品をピックアップすることが容易になります。
・キャラ立ち小説、というジャンルは曖昧で大きすぎる
ここで問題だと思ったのは、キャラ立ち小説、というジャンル分けは曖昧な挙句、大きすぎると言うことです。
一般文芸にもそういう作品は数限りなくあるだろうし、ラノベにもたくさんあります。どちらにも含まれないで「キャラ立ち小説」だけでジャンルわけされる作品などほとんどないと思います。そもそもラノベや一般文芸ですら曖昧な定義なのに、「それとは違う」なんて言うのはどういうことだと。
リンク先の記事ではラノベとも違う!?と言って『ビブリア』とか挙げてますが、これをどういう捉え方をするとラノベじゃなくなるのか不思議です。
むしろキャラ立ち小説というのはどちらかというとラブコメ、とか青春もの、とかのジャンル分けに近いように思います。
それも「一般文芸の中で、どちらかというとキャラクターがラノベのよう」という意味合いだから、本来は一般文芸につけるラベルです。
・新たな市場を開拓する
確かに我々のような人間からすると「だから何?」というジャンル分けです。
しかし普段一般文芸は読めない、けどラノベは読みたくない……という人間をとりあえず読書に引きずり込むには良いジャンルわけではないか?と思います。
ラノベに対する一般人の抵抗感の大きさは、特に高校では肌で感じて過ごしてきました。攻撃されうるマイノリティを排除することにかけては、一般人というのは超強力ですから。自分がそれになる可能性には全力で抵抗しますから、こういうジャンルわけを作って心理的な逃げ道を提供してやることはかなり有効ではないかと思うわけです。
一般文芸より簡単、だけどラノベほど攻撃される要素は持ってない……「普通」っぽい。世間的に恥ずかしくなさそう。
まあ最近はけいおん!好きとか言っても大丈夫な感じだし、だいぶそういう垣根はなくなってきたのかなあ。そうだといいですね。
あと一般文芸は読むけど、ラノベなんて下らない、という人にも有効かもしれません。この辺から入って、比較的悪くないじゃん?と思えば、ラノベにも数ある傑作に触れる機会が生まれます。
とにかく、市場のパイを広げればそれだけ業界が潤いますから、このようなジャンルわけに釣られて入ってくる人が沢山いれば、それは素晴らしいことじゃないかと。将来一般文芸かラノベを買いあさるホープかもしれません。
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そんなわけで、一見意味がなさそうに感じてしまったジャンル分けですが、どんどんやってくれればいいと思います。ラノベと違う、とか言ったところで、ビブリアの作者で探せばラノベばっかりなわけで。歓迎です。