イース7 RPGもここまで来れるのか…
- 出版社/メーカー: 日本ファルコム
- 発売日: 2011/07/14
- メディア: Video Game
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※2節目のみ致命的なネタバレ
・隅々まで計算された快作
久しぶりにRPGがやりたくなり、ネットでやたら評判のよかった本作を手にとってみた。
そうしたらこれがとんでもなく面白い。システム、ストーリー、音楽など、全てが計算されているとしか思えない綿密で快適な出来だ。
正直最近はゲームをするにもかなり不精になっていて、もうダンジョンがあって、雑魚敵を倒して……というRPGはできないだろうと思っていた。事実最近はSRPGばかりやっていた。それだけに、本作の衝撃は大きかった。
ゲームが面白くなくなったというような話はよくされるが、こういうのをやると、そんなことはないと思ってしまう。それくらい楽しませてくれた。
ただ、ゲームとしてのレビューは既に優れたものがたくさんあるので、どちらかと言うとストーリーの解釈について中心に考えたいと思う。ゲームとしての感想は後半で少し触れる程度に留める。
・アルタゴの理とは?
この節は未プレイの人は読まないことを強く推奨したい。
アルタゴの地では、世界の調和が乱れると、滅びの風が吹き、全ての生物は死に絶え、魂の井戸に帰る。
そうして一度まっさらにもどると、再び調和を取り戻した大地に命が芽生え始める。
これを繰り返してきたと言うのだ。つまり人間は何度も自分で調和を崩して、そのたびに滅びてきたらしい。
明らかにこれは現代社会への訴えかけでもあるが、どうもそれだけではないような気がする。
というのも、アルタゴの理というのは「人間が」調和を乱すことを前提にしており、これが自然発生したとは考えにくいからだ。誰かはるか昔の先人が造ったように見える。
おそらく、彼らは滅びの淵にあって、考え抜いた結果このシステムを作り出したのだろう。きっとロストテクノロジーを有する一大文明だったのだ。
ではこの不毛とも思えるループを作った意図はなんであったろうか。循環して持続できる点では優れているが、毎回リセットしていたのでは持続する意味に乏しい。
一つ考えられるのは、彼らは人間の進化を待っていた説であろう。毎回危機に追いやることで、偶然でもループを抜け出せるまでに人間が進化する可能性にかけたという考え方だ。竜の戦士が勝つというのはそういう意味だったのだろう。
しかしこの世界においては、人間の本質はあまり変わってないように見える。たまたまアドルという優秀な戦士がいたから理を破れてしまっただけだ。おそらくこの世界はあと数百年、遅くとも数千年もすれば滅びるだろう。
そう考えると、このシステムを作った人間としては、アドルという異分子は予定外の存在だったのではないかと思う。人類進化計画?のようなものをアドルはぶち壊してしまったわけだ。そうして、仮初めの滅びを本物にしてしまった。
ここで重要なのは、彼が今を選んだことだろう。例え後ろにもう一度可能性のあるループが待っているとしても、現在を引き伸ばしたことによってどんな苦しみが生まれたとしても、今を生きている彼にリセットを許容することはできないのだ。
現存する人は、例え勝ち目がなかろうと、希望にすがって何とか立ち向かってやっていくしかない。仮に理を破り、その自浄作用を失わせることになったとしても。
それはエゴかも知れないけれども、では一体誰のために自分が滅びなければならないのか?現存する彼らにとって、次回へつなぐ意味があるだろうか。
ここから一回性の重要性、つまり連綿と生きる人間という種に対し、個人がその前や後ろに責任や権利を振ってしまうことなく、自分の生を全うしていくことの重要性を説いているのだ、というのは言いすぎだろうか。多分言いすぎだろう。
まあ本来のストーリーの見所としては、ティアの決意だろう。
マヤがイスカ熱によって倒れてしまった以上、苦しむ時間を減らすために滅びを加速させたとはいうが、それは本当だろうか?
滅びが近づくと言うことは、救済が近づくと言うことでもある。ティアとしては、どちらでもよかったのだろう。その先には確実に自分がいないとしてもだ。
そこには己の責務を全うする以上の苛烈な決意が見える。なにせ滅びを加速させるために望んでいない悪行を重ねなければいけない。
こういった、敵がただ単に人類に絶望したから滅ぼす、という類型でないところは非常に素晴らしいと思う。
・システム的にはひたすらユーザーのことを考えた作品
少しシステム面についても触れておこう。
本作はとにかくストレスフリーな出来だと思う。かゆいところに全て手が届くようだった。
まず音楽のノリが全体的にとにかくいい。ファルコム作品の音楽は基本的に高評価だとは思うが、それも頷ける。
このゲームはフィールド移動とバトルがゼルダの伝説のようにシームレスになっている。そのため、最初のフィールドの音楽一つ取っても、まるでラスボス付近で流れるような勇ましい音楽で、単調になりがちなフィールド移動やザコ敵とのバトルを盛り立ててくれるのだ。
またこのフィールド移動はかなりスピーディで、ザコ敵の動きと比較して主人公のダッシュ移動がはるかに速いため、やろうと思えばザコ敵は全て無視できる。当然、ポイント間を瞬時に移動するルーラのような機能もある。
やろうと思えば、というのがポイントで、ノーマルで進める場合、通りがかる際に一度適当に倒しておく程度の倒し方で、十分なレベルが得られる。
またスキルが使い込むと上達していくため、スキルを強化するためにザコ敵を狩る楽しみができる。
この辺にかなり高い自由度があるために、それぞれに合ったスタイルが選択できる。
総合して、とにかくユーザーが快適に進められるように苦心して設計しているように感じた。
ところがこれが一転、ボスになると途端に苦しい戦いになる。特に序盤はゴリ押しでは勝てず、敵の攻撃パターンや攻略方法を見極めて戦うことが必要になる。難易度もイージーからハードまで?4種類ほど用意されており、好みに応じて強度を調節できる。
またダンジョンもひたすら長いと言うよりは、またも引き合いに出すがゼルダの伝説のように仕掛けを解いて進んでいくような形が多い。
この辺はゲームらしくやり応えがあり、ただストレスを感じないだけの作品では決してない。
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べた褒めですが、なにせ欠点も見当たりませんし、それに値するゲームだと思いました。素晴らしい。